伝える側から、経験する側へ|顔面神経麻痺を経験した理学療法士の想い

はじめに|この文章を読んでくれるあなたへ

今このブログを読んでくれているあなたも、きっと顔面神経麻痺という突然の出来事に戸惑い、不安な気持ちを抱えているのではないでしょうか。

僕は、病院で理学療法士として働きながら、理学療法士を目指す学生に向けた授業も担当しています。顔面神経の支配領域や表情筋の動きについて講義をしていた矢先、自分自身がその「顔面神経麻痺」を発症することになるとは、想像もしていませんでした。

このブログは、今まさに顔面神経麻痺と向き合う「患者」としての自分が、「理学療法士」そして「教育者」としての視点も交えて記録していくものです。今日は、変化のない症状に不安を感じながらも日々を送る“いま”のリアルを綴ってみようと思います。


現在は仕事を休職中です

現在、症状の影響もあり、仕事は一時的にお休みをいただいています。

来週からは復帰の予定ですが、麻痺の症状に大きな変化はありません。医学的な判断としても、すぐに笑顔が戻ることは難しいだろうといったところです。

それでも復帰を決めたのは、「少しずつ、できる範囲で動き出していくことも大切だ」と思ったからです。

とはいえ、表情の動きが不完全なままで職場に戻るのは、正直怖い気持ちもあります。

仕事柄、患者さんや同僚、学生と“顔を合わせて話す”場面が多く、表情の硬さや口の動きに気づかれるのではないかという不安もあります。

でも、それ以上に「いまの自分でも、できることがあるはず」という気持ちを大事にしたいと思っています。


変化がない日々と、心の中の揺れ

発症からしばらく経ちますが、症状はまだ大きく変化していません。

  • 右顔面の麻痺は続いており

  • 目の閉じにくさ

  • 口のもたつき

  • 笑顔が作れない状態

が今もあります。

医学的には「これからゆっくり回復していくことが多い」と理解しています。でも、患者としての日々の中では、「本当に治るんだろうか」という不安が押し寄せることも少なくありません。


日常の中のつらさと、向き合い方

麻痺があることで、日常生活にも小さくて大きな支障が出ています。

  • 顔を洗うと目がしみて痛い

  • ご飯を食べるとき、うまく口が閉じられずこぼしてしまう

  • 歯を磨くのにいつもの倍の時間がかかる

どれも日常の些細なことかもしれません。でも、これまで当たり前だった動作が当たり前にできないことに、戸惑いとストレスを感じる日々です。

そしてなにより一番つらいのは、「笑えないこと」

仕事中や、子どもと接しているとき、ふと「笑顔になれない自分」に気づいて、落ち込んでしまう瞬間があります。


話すこと、伝えることが怖くなるとき

僕の仕事は、患者さんと関わること、学生に授業を届けること。
話すこと」「伝えること」が日常の一部です。

でも今、話すたびに表情の動きが気になってしまう。
相手の視線が、自分の顔に集中しているような気がしてしまう。

正直、少し怖くなったり、話すこと自体が億劫になる日もあります。

だけど、この体験があるからこそ、今後同じような不安を抱える患者さんに、より寄り添えるようになるんじゃないかと、信じたい自分もいます。


患者になって初めてわかること

理学療法士として働いていると、患者さんの「気持ちを想像する」ことは大切にしてきたつもりでした。

でも今は、「想像」ではなく「実感」があります。

  • うまくいかないもどかしさ

  • 周囲の目線が気になる気持ち

  • 小さな希望にすがるような気持ち

そうしたものを、毎日の中で少しずつ味わっています。

伝える側」だった自分が、「経験する側」になって初めて、本当に伝えられることが増えていくような気がしています。


最後に|今は笑えなくても、また笑える日を信じて

この文章を読んでくれたあなたも、きっと同じように不安の中にいるのだと思います。

でも、あなたは一人じゃありません。
僕も同じように、今その不安の中にいます。

いつか、また自然に笑える日が来ることを信じて、焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。

今後もこのブログで、使ってよかった道具や、リハビリの工夫、心の整え方なども少しずつ紹介していきます。
よければ、また覗きに来てくださいね。


※免責事項

本記事は筆者の個人的な経験と理学療法士としての知見に基づいて執筆したものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状に不安がある方は、必ず医療機関を受診してください。

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