佐久間宣行『ごきげんになる技術』感想|「強さ」ではなく「整える力」で生きていく

佐久間宣行『ごきげんになる技術』感想|「強さ」ではなく「整える力」で生きていく

テレビプロデューサー・佐久間宣行さんの著書『ごきげんになる技術』を読みました。

テレビ東京で人気番組を手がけたのち、独立して活動されている佐久間さん。本書では、そのキャリアを通して学んだ「自分の機嫌を自分でとる」技術が、ユーモアを交えながら語られています。
個人的には高校生の頃から佐久間さんのつくるバライティ番組を見続けていて、ラジオも毎週聴いている大好きな人です。そんな人の本はもちろん僕にとっても刺さりました。

「ごきげん」という言葉は一見ふわっとした印象がありますが、本書ではそれを“メンタルの安定”と“ブレない軸”と定義しており、深い含蓄があります。

ごきげんとは「メンタルが安定していて、ブレない軸がある」という状態のこと

この一節が、本書全体を象徴しています。ブレない軸というのは、環境や他人に左右されずに自分で判断し、自分で整えていく力のこと。僕自身、仕事や家庭であわただしく過ごす中で、気持ちが乱れることがよくあります。そんなときこそ、この言葉を思い出したいと思いました。


誰よりも自分が準備して結果で見せるしかなくて、「大変な仕事の中にある楽しさ・面白さはこれだよ」とそれとなく伝えましょう。

「強さ」や「賢さ」ではなく、「準備」で語るという姿勢は、今の自分に刺さる言葉でした。つい言い訳を用意してしまいそうな場面でも、黙々と準備して、結果で伝える。僕自身、経験よりも気持ちや熱意でなんとかしようとすることが多かったけれど、これからは「準備こそが信頼」という言葉を胸に刻みたいです。


劣等感を抱いているのに、優越感を抱かない人間なんていない

耳が痛いですが、確かにそうだと思いました。劣等感を抱えたとき、無意識に他人と比べて自分を保とうとする。その「比べる」癖こそが、心を不安定にする原因なのかもしれません。「優越感に逃げずに劣等感と向き合う」ことが、自分を整えるための第一歩なのだと感じました。


一人の時間を深く味わうと、気持ちがスンと整って、改めて周りの人にも気を使えたり、やさしくなれる気がする

この一文は、忙しい毎日のなかで忘れがちな“自分に戻る時間”の大切さを思い出させてくれました。子育てや仕事に追われていると、つい自分の心の状態を無視してしまいますが、余白がないと他人へのやさしさも出てこない。ほんの5分でも、自分の心と対話する時間を作るようにしたいです。


失敗するのが怖いから本気を出さないとか、できなかった時の言い訳をたくさん用意しておく

これは、僕自身の過去の姿そのものでした。失敗を恐れて「本気じゃなかった」と自分に言い訳する。けれど、それは成長の機会を手放す行動でもあるのだと、ハッとさせられました。

本書では、そのような逃げではなく、

知見がないという立場に身を置いて、まっさらな状態になれる場所を見つける

ことの重要性が語られています。「わからない自分」でいる勇気、それこそが、成長の始まりだと思います。


自分の手持ちの武器をちゃんと理解して磨き、得意技を増やしていく作業と経験を積まないと、40代以降に勝負できない人間になる

この言葉には、背中を押されるような感覚を覚えました。僕はまだ、自分の武器を明確に言葉にできない。だからこそ、これから意識的に、自分の得意や関心を見つけて育てていきたいと思いました。「何ができる人か?」を説明できることが、次のチャンスをつかむ鍵になると感じます。


好かれるためじゃなく、相手への敬意を伝える方向に意識を転換してみると気がラクになる

これは、人との関係に悩んでいたときに出会いたかった言葉です。嫌われないように振る舞うよりも、相手への敬意を意識していれば、自然といい関係が築ける。肩の力を抜いて人と向き合う方法を、この一節が教えてくれました。


この本は、ビジネス書でありながら、どこか“お守り”のような存在です。頑張ることや、周囲と比べることに疲れたとき、立ち止まって読み返したくなる言葉がたくさんあります。

僕にとっての「ごきげん」は、無理して笑うことではなく、「整えること」「言い訳しないこと」「人との距離を意識すること」でした。

これからも、強くなることを目指すのではなく、自分をきちんと整えて進んでいける人でありたいと思います。

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