絵本の中にある、やさしさとユーモア|かがくいひろし展に行ってきました

絵本の中にある、やさしさとユーモア|かがくいひろし展に行ってきました

こんにちは、オカダです。
今日は、初めて「顔面神経麻痺」以外のテーマでブログを書いてみようと思います。

先日、家族で「かがくいひろし展」に行ってきました。
絵本『だるまさんが』『だるまさんの』『だるまさんと』のシリーズでおなじみの、かがくいひろしさん。
子育て中の方なら、一度は手にしたことがあるのではないでしょうか。
我が家でも息子に何度も読んできた絵本で、読むたびに笑いが生まれ、心がやさしくなる時間をもらっていました。

そんな絵本の世界の裏側に触れることができる展示。
行ってみた結果、想像以上に深く、あたたかいものを受け取って帰ってきました。

絵本の裏側にある「教育者のまなざし」

展示の中でも特に心に残ったのが、かがくいさんの「アイデアノート」や教育実習生への言葉でした。

「たとえ話し言葉を持たない子でも、ものに働きかけたい、話しかけたい/人とのかかわりの中でこそ、子ども達はいろいろな力を獲得していくもの」
「子どもとの接し方でも、必要なのは創造力だと思います」

言葉を超えたコミュニケーションの可能性。
それをまっすぐ信じて、試行錯誤を重ねながら子どもたちに向き合っていた教育者としての姿に胸を打たれました。

かがくいさんは、障害児教育の現場で長く教員をされていた方でもあります。
展示では、脳性麻痺の児童がわずかに手を握れる様子を見て、「これならハサミが使える」と判断されたエピソードが紹介されていました。
私はこれを見て、理学療法士の仕事にも近いものを感じました。
ほんの小さな変化を見逃さず、その人の可能性を信じて支援する姿勢。
その1人ひとりに向けられた情熱と観察力に、深く感銘を受けました。
そして、目の前のたった一人に真摯に向き合うことが、最終的に大きな成果を生むのだと、あらためて教えられた気がします。

「わたしのしあわせ」に詰まった人生観

もうひとつ、心に強く残った展示がありました。
それが、かがくいさんの言葉「わたしのしあわせ」です。

なんどもなんども、くりかえしみてくれること。
「こんなのみたことない〜」とびっくりされること。
いっしょにおふとんでねてくれること。
「へんてこりんでおもしろいもの」に出会えること…

そのどれもが、小さくて、当たり前すぎて、つい忘れてしまいそうな「しあわせ」たち。
でも、そうした日々の中にこそ、本当の喜びや人生の彩りがあるのだと気づかされます。

「絵本をかいているわたしのしあわせです」と締めくくられたその言葉には、静かな自信と、深い優しさが感じられました。

「この子たちの人生」を生きるということ

展示のなかにあった「ベテル修道女の言葉」もまた、心に深く残りました。

効果があればやる。効果がなければやらないという考え方は、合理主義といえるでしょうが、これを人間の生き方にあてはめるのはまちがいです。
この子どもたちは、ここでの毎日毎日が人生なのです。
その人生をこの子どもたちなりに喜びをもって、充実して生きていくことが、大切なのです。
わたしたちの努力の目標もそこにあります。

この言葉を読んで、私の中にあったある迷いがすっと晴れました。
たとえば、高齢の方のリハビリで身体機能が少し改善しても、果たして何が生まれるのか?
そんな問いがどこかにありました。
でも、この言葉が答えをくれました。

「今この瞬間がその人の人生」なのだと。
そして、私たちの関わりがその人生の一部を形づくるならば、その瞬間をより良いものにすることが、どれだけ大切なことか。
目の前の人の“今”に関わる責任と喜びを、あらためて感じました。

最後に

展示を見終わったあと、家に帰ってまた『だるまさん』シリーズを息子と一緒に読み返しました。
ただ楽しいだけじゃない、絵の奥にある想いや、言葉に込められた願いを、前よりもずっと強く感じながら読んでいる自分がいました。

「絵本って、深いなあ」
そんな感想が、心から出てきた一日でした。

かがくいさんの作品に触れて、表現とは誰かの人生を照らすものだとあらためて思いました。
日々の忙しさの中でも、立ち止まって、感じる時間をもつ。
その大切さを教えてくれる展示でした。

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