顔面神経麻痺から1ヶ月半|頬・目・下顎にも動きが戻り始めた今、感じていること
顔面神経麻痺を発症してから、約1ヶ月半が経ちました。
日々少しずつ変化がありながらも、大きな進展というよりは「気づいたら少し良くなっていた」そんな感覚の毎日です。
この数日間で特に印象に残っているのは、頸枝や下顎枝といった末梢の枝にあたる部分にまで、筋の収縮が見られるようになってきたことです。
先日まで、口の端から下顎にかけて、動きが鈍く、口を「へ」の字にする筋肉が全く動きませんでした。歯を磨く時などに「右側だけやりにくい」と感じていました。
それが最近では、「へ」の字を作ろうとしてみると、少し動くようになりました。目の周りは日に日に強く閉じれるようになり、頬も強く持ち上げれるようになってきました。
もちろん、左右対称とは言えませんし、笑顔もまだ引きつったような形にはなります。それでも、発症当初に感じていた“無力感”からは、少し抜け出せているような気がしています。
「動いた!」喜びと、それに慣れていく自分
最初に顔が動いたときのことは、今でもよく覚えています。
「動いた!」という喜びが込み上げてきて、嬉しくて、思わず妻に「みてみて!」と声をかけて、顔の動きを何度も見てもらいました。
あの瞬間の感動は、きっと一生忘れません。
ただ、それから毎日少しずつ目を閉じる力が戻り、頬を持ち上げる力も強くなってくるにつれ、不思議とその“喜び”は小さくなっていきました。
嬉しいはずなのに、「わざわざ見てほしい」と思うほどの感情にはなってこない。動くことに慣れてしまったというか、回復が“当たり前”になってきたのかもしれません。
職場と自分の“距離感”の調整
回復のために、もう一つ意識しているのは「疲れをためないこと」「ストレスをためないこと」です。
特に発症の一因として、自分自身でも「疲労の蓄積」「ストレス」が大きかったと感じているため、再発や回復の遅れはどうしても避けたい。
そのため、今は意識的に仕事を定時で切り上げるようにしています。
でもこれがなかなか難しい。
職場のみんなも、僕が顔面神経麻痺になった当初はとても気遣ってくれていたのですが、1ヶ月以上が経つと、その存在自体が日常に紛れていきます。
良い意味で“普通に接してもらえる”ようになった一方で、最近では仕事の依頼が増えてきて、「あ、忘れられつつあるな」と感じることも。
そんなときは思いっきり笑うと顔面神経麻痺感が強くだせるので、思いっきり笑ってジャブを打っています。忘れんなよ、って。笑
でも僕は過剰な仕事を、回復のために断固として断るようにしています。
以前の自分なら「わかりました」と引き受けていた仕事も、今は「すみません、それは今は難しいです」と、はっきり伝えるようになりました。
回復には、自分が自分のためにブレーキをかける勇気が必要だと、ようやく気づけた気がしています。
日々を重ねていくしかないという感覚
神経の回復は、目に見えてドンと進むものではなく、じわじわと進んでいくものだと改めて実感しています。
理学療法士としても、これまで患者さんに「回復には時間がかかりますよ」「焦らずいきましょう」と伝えてきましたが、自分がその立場になると、どうしても“待つ”ことの難しさを感じます。
でもだからこそ、「日々を重ねることの強さ」を感じるようにもなってきました。
昨日と今日で大きな違いはなくても、1週間前と比べれば、明らかに変化している。そうやって、少しずつでも確実に進んでいると信じられる自分がいます。
最近は、仕事にも完全に復帰し、子どもとの時間も以前と同じように過ごせるようになってきました。趣味だったランニングも、無理のない範囲で再開し、ストレス発散の場が戻ってきたことも大きいです。
顔のことを考えすぎない時間が増えたのも、心の健康につながっている気がします。
おわりに|「きっと良くなる」と信じること
1ヶ月半前、「笑うこと」や「ご飯を食べること」すら苦痛だった日々が、今では少しずつ当たり前に戻りつつあります。
完全に元どおりとは言えませんが、それでも「良くなってきている」と実感できる今は、当時とはまるで違う景色です。
でも、その安心感に甘えず、気を抜かず、回復の最後まで丁寧に向き合っていきたい。
このブログが、同じように顔面神経麻痺と向き合っている方にとって、少しでも安心や共感につながれば嬉しく思います。
今日も、自分の回復を信じて、日々を重ねていきます。
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