Chatter 頭の中のひとりごと感想|「思考の嵐」に呑まれず生きる26のヒント
「また考えすぎてしまった」「なんであのときあんなことを言ったんだろう」——そんな自分の頭の中Chatter 頭の中のひとりごと感想|「思考の嵐」に呑まれず生きる26のヒントの声に、何度も悩まされた経験がある人は多いはずです。
心理学者イーサン・クロスによる『Chatter 頭の中のひとりごとをコントロールし、最良に導く26の方法』は、私たちの内側に響くこの“ひとりごと”(Chatter)を、どのようにコントロールし、人生の味方につけていくかを教えてくれる一冊です。
著者は、自己内対話が私たちの創造性を育み、自己調整力を支える一方で、行き過ぎたチャッターは不安やストレスの温床になり、健康にすら悪影響を与えると指摘します。本書は、科学的知見と実践的なアドバイスの両面から、思考とうまく付き合うための方法を示してくれます。
以下では、本書から心に残った言葉を引用しながら、私なりの感想を綴っていきます。
陰謀論では、混沌とした状況や混乱した事象を、邪悪な勢力の怪しい(かつ秩序立った)計画のせいにする。…その過程で他者に害を与えることが少なくない(結局、陰謀論は虚偽であり根拠を欠くのが常だ)。
情報が溢れる現代において、「わからないこと」や「制御不能な状況」に直面すると、人は秩序を求めて物語を作りたくなる。その心理を冷静に分析した一節。私たちはつい「説明」を欲しがるけれど、それが偏った物語になる危うさにも、目を向けなければならないと思いました。多くの人が信じているストーリーが真実みたいな空気がある世の中で、考えなくて済むから、楽になろうと信じたくなりますが、根拠を知ろうと努力することを忘れないようにしたいと思いました。
コントロールできないものを嫌う傾向があり、混沌とした事象、状況を嫌う(世界は混沌としたものなのに)。だから根拠もないのにコントロールできるよ!と言われると、信じてしまう。
この文を自分に照らし合わせ、その通りだ!と感じました。自分が、イライラしてしまう時を想像してもコントロールできない時にイライラしてしまいます。コントロールできないものがたくさんあることを受け入れ、それは本当に自分を支えてくれるものなのか。あえて「わからないまにしておく」ことも大切なのではないかと思いました。
自分の心から完全には離れられないその性質が、人間の創意の主たる原動力となり、そのおかげで私たちは建造物を造り、物語を紡ぎ、未来を夢見る。
チャッターは“やっかいなもの”であると同時に、“創造性の源”でもある。苦しさもあるけれど、それを通じて私たちは創り、語り、生きていく。その力強いメッセージに心を動かされました。
脳卒中により後遺症が残った神経解剖学者のジル・ボルト・テイラーは、言語の流れが沈んで停止するとともにチャッターも止まるのを感じ、奇妙な高揚感を覚えたが、その一方で、空虚で切り離された感覚にとらわれもした。
チャッターがなくなることで感じる“解放感”と“空虚”。心の声がうるさくても、それは“自分”と“世界”を結ぶ大切な線なのだと気づかされます。すべてを無にするのではなく、うまく付き合う道を選びたいと感じました。
要するに、自分自身との会話を変えれば、人生が変わる可能性があるのだ。
Chatterからは逃れられない。過剰になれば健康を害す。しかし、Chatterがあるから、不安があるから恐怖があるから、人間の創意の原動力となる。自分のChatter (考えすぎるところ)を、生かして。そのために上手く付き合えるようになる。
自分を指すのに、名前や二人称の「あなた(you)」を使おう
不安に襲われたとき、自分の名前を呼んで「大丈夫、◯◯」と声をかける——このようなシンプルな方法で心を整えることができるというのは、実践的かつ温かいアドバイスだと感じました。自分を励ます声は、自分で作れる。
環境に秩序をつくり出そう。…周囲の空間を整えるやり方を見つけ、精神的秩序の感覚を得やすくしよう。
頭の中が散らかっているとき、周囲の環境も散らかっていることが多い——これは私自身にも思い当たる節があります。片付けや整理整頓が、思考にも良い影響を与える。気分が落ち込むときこそ、まず“環境から整える”ことの大切さを実感しました。
緑地でもっと活用しよう。…生活や仕事の場を植物の緑で囲み、内なる声にとって快い環境をつくり出そう。
自然の中に身を置くことは、感覚的に心地よいだけでなく、科学的にもチャッターに効果があると知って納得です。散歩、観葉植物、自然音など、小さな自然でもいい。心がざわつくときほど、自然に触れる時間を大切にしたいと思いました。
おわりに
『Chatter』は、「頭の中のうるさい声」を消すのではなく、「その声とどう付き合うか」を教えてくれる本です。
思考に振り回されやすい人、過去の後悔や未来の不安に疲れている人にとって、この本は救いのヒントになるでしょう。
自分との対話を変えることで、人生の輪郭は少しずつ変わっていく——そんな希望をくれる一冊でした。
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